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CRPGにおけるAI戦闘システムの変化、とはいってもあくまで自分がプレイした体感(笑)でしか語れない部分が大きいので、どうしても時期は飛び飛びになりますしシステム設計に詳しいわけでもないので……肩の力を抜いて読んでいただければ嬉しいです。 ・ドラクエⅣにおける「クリフトのザラキ」 AIによる戦闘というとやはりドラクエⅣが思い出される。当時から「クリフトのザラキ」がネタにされていたように、プレイヤーによる満足度は決して高いとは言えないものだった。 その理由は恐らくAI戦闘が導入されるのが主人公:勇者となる第5章からであり、それまでの第1~4章は従来のCRPG通りコマンド選択式の戦闘が行われていることに起因しているのではないだろうか? つまりここまでのプレイで自分の思い通り(=自分が最適解だと信じる通り)に操作できていたキャラクターの行動が、突然取り上げられてしまうのである。 つまりそこで行われるプレイヤーの想定していない行動は、それがよっぽどの有効打でない限り「AIの行動選択は悪い」という印象を与えてしまうのである。 実際改めてプレイしてみるとドラクエⅣのAIはそれほど奇妙な行動はしない。ブライは攻撃力の高いメンバーにバイキルトを唱えるし、クリフトはベホマとベホマラーを使い分ける。流石にパーティー壊滅がしそうな状況で「いのちだいじに」を選んだらミネアがメガザルした時は声が出たけど。 この時点でAIの行動は、学習型AIだということも含めて想像以上に完成されているのだと思われる。問題は「コマンド選択からAI」の移行が上手くいっていないことと、その結果AIが「最適解として選択するもの」とプレイヤーの「最適解だと思うもの」のズレが心理的負担になることが問題となるのである。 そして後者の「ズレ」の問題はどれだけAIが進化しようと、プレイヤーの思惑は個人個人で異なるためどうしても残る部分だ。 つまりドラクエⅣ以降のAI戦闘システムは、その「ズレ」を無くすのではなく「気にならなくさせる」方向にカバーしていくことになる。 ・ドラクエⅤの主人公能力と「めいれいさせろ」 ドラクエⅤでもⅣに引き続きAI戦闘システムが継承された、が一つ「めいれいさせろ」という作戦が増えた。 これを選択することで全メンバーに対してコマンド入力が可能となるのである(かしこさのパラメーターが一定以下だと言うことを聞かないときがある、というペナルティはあるが実質ほぼ影響は無い)。ドラクエⅣのAI戦闘に大なり小なり不信感を持っていたプレイヤー(かくいう私も初回プレイ時はその一員であったのだが)はほとんどの場面をこの「めいれいさせろ」で突破していった。 しかしドラクエⅣよりも「パーティーの組み合わせ」が自由になったドラクエⅤでは、AI・プレイヤー間の「最適解のズレ」をコントロールするまた別の楽しみが立ち上がってくるのである。 物理攻撃と特技(MPを消費しない特殊行動)で「ガンガンいこうぜ」のままダンジョンを踏破することも、魔法職主体で「みんながんばれ」と「じゅもんせつやく」を切り替えながら楽に進んでいくことも、物理・特技・魔法をバランス良く配置しエンカウントしたモンスターに合わせて「さくせん」を変えていく軍師プレイも可能となのだ。 ドラクエⅣではパーティーメンバーが固定だったために不可能であった、AIとプレイヤーのズレを埋めることがドラクエⅤのモンスターを仲間にできるシステムによって「戦略を立てる楽しさ」にすることができているのである。 さらにこのAI戦闘を支えるのが、どの「さくせん」でもコマンド入力ができる(必要な)主人公の能力設定なのだ。 ドラクエⅤの主人公は ・高めの物理攻撃力 ・回復魔法(ベホイミ・ベホマ) ・バフ魔法(スカラ) という一通りどんな状況でも無駄にならない行動が出来るのである。 つまりAIがプレイヤーの想定外な行動を取ったとしても、主人公によるフォローがしやすい。あるいは「さくせん」を変えないまま主人公の行動で戦闘のコントロールができる(例えば「ガンガンいこうぜ」のまま、主人公はスカラ・ベホイミでバックアップにまわるなど)ようになるのである。 あわせてドラクエⅤ序盤でかなりの確率で仲間になるスライムナイトも ・高い物理攻撃 ・回復魔法(ベホイミ) ・全体攻撃魔法(イオ・イオラ) を持つため、敵の数と味方のHPを参照すればほぼ間違いの無い行動選択が可能であり、かつ序盤から終盤までの長い期間で使用に耐える能力を持つ。彼の存在がドラクエⅤにおけるAI戦闘システムの有用性を底上げしていると言っても過言ではないだろう。 ・シーケンス的進化としてのガンビットシステム FF12では味方の行動制御に「ガンビット」というシステムを使うことが出来る。 これは「優先度」と「条件」と「行動」を事前に設定しておくことで、コマンド入力をせずとも自動的に行動選択を行わせることができるようになる。 例えば「優先度1:戦闘不能の味方がいた場合:蘇生アイテム使用」「優先度2:HP50%以下の味方がいた場合:回復魔法を使用」「優先度3:目の前の敵:通常攻撃」といったように、設定さえ正確ならば非常に高性能なAIを搭載しているかのような挙動をさせることが出来る。 参考例 【FF12 全自動ヤズマット Part 1 of 6】 http://www.nicovideo.jp/watch/sm2377831 これまではAIの挙動とプレイヤーの思惑の「ズレ」が、AI戦闘システムに対する不満としてどうしても残ってしまっていた。 このガンビットシステムは正確に言うならば「AI戦闘」ではなくプレイヤーによって設定された「シーケンス」であり、プレイヤー自身にその挙動を制御させることによって、挙動と思惑の「ズレ」が起こる責任はプレイヤーへと圧し掛かることとなる。 つまりドラクエⅤでは「パーティーの組み合わせ」を工夫することによってAI戦闘での挙動を制御していたのに対し、FF12では「AIの挙動を設定する」という制御を行っているのである。 確かにこのガンビットシステムによってAIによる戦闘はかなり高度な戦略を行うことすら可能となった。しかしそれを使いこなすにはプレイヤーの試行錯誤と学習が必須であり、かなり煩雑なシステムであるとも言えよう。 ・入力補助機能としてのAI さてこのガンビットシステムは、設定の困難ささえ乗り越えれば明らかに手動入力を超えた速度での行動選択が可能となる。 つまりここでAI戦闘システムは不便で思い通りにならない存在から、(戦闘中においては)プレイヤーの入力作業を省略あるいは補助をするものへと移り変わろうとしているのである。 プレイヤーの思惑との「ズレ」、そして「操作支援」としてのAI戦闘を同時に満たしたのが『クリミナルガールズ』の「提案システム」である。 『クリミナルガールズ』では様々な能力を持つ7人のキャラクターから4人を選択しパーティーの編成を行うのだが、戦闘中に彼女らの行動をそれぞれ指定することはできない。 代わりにパーティメンバーそれぞれが「このターンのパーティーの行動」をプレイヤーに対して「提案」してくる。 例えば【A・全員で物理攻撃 B・MPを消費して技/魔法を使用 C・バフ/デバフをかける D・HP/状態異常回復を行う】といったように、状況と能力から考えられる行動を4通り提示するのである。 ここでAIが状況を判断し適切な行動を示しながら、その最終決定はプレイヤーに委ねられる。そこでプレイヤーは自身がとらせたい行動に「もっとも近いもの」を自主的に選択することとなる。 CRPGの戦闘において、ターン毎に有効な行動はある程度限られる。それをAIによって判断させつつ、考えうるパターンの中から4つ提示された場合にプレイヤーの思惑から大きくハズれるような選択肢しか存在しないことは中々考えにくい。つまり常に「ベスト」でも「ワースト」でもない「ベター」な選択をすることができりるのである。 またザコ戦闘において通常攻撃のみを行うとき、キャラクターの数だけ「通常攻撃→ターゲット選択」とするよりも(決定ボタンを連打するだけとはいえ)それを一括で選択できるのはプレイのテンポを損なわず、快適なプレイングへと繋がるのである。 特に『クリミナルガールズ』ではプレイヤー:指導教官/キャラクター:問題児という設定がされており、ある程度「完璧には言う通りにしない彼女達」の挙動は設定と噛み合っているために想像以上にストレスのないプレイングが可能となっているのである。 ・オレのトモダチ妖怪ウォッチ さてプレイヤーの思惑との「ズレ」を解消し、入力補助として「AI」を採用した『クリミナルガールズ』は、最終的にどうしても埋められない部分を解消するため前述したように【設定】によって「思い通りにならないこと」にたいして納得できる回答を与えた。 それと非常に似た構造を取っているのが『妖怪ウォッチ』である。 『妖怪ウォッチ』では6匹の妖怪を円盤状に並べてパーティーを組み、前衛3人が戦闘に参加し、後衛3人は”特に何もしない”のである。 また妖怪の行動は完全にAIで制御されており、アイテムによる性格変更である程度の「行動傾向」を設定することはできるが100%ではない。 それに加え妖怪たちは「サボる」。つまり戦闘中に行動を放棄し「何もしない」ことを選択することもあるのだ。 『妖怪ウォッチ』作中で、妖怪たちはプレイヤーに使役される存在でも奴隷でもない、「トモダチ」なのである。つまり彼らはプレイヤーの命令を聞く義務などは持っておらず、あくまで「トモダチ」として協力しているに過ぎないのだ。 故に彼らは「思い通りにならない」し「サボる」こともある。 この「サボる=行動放棄」の確立を下げるには一部アイテムによる性格変更と、もう一つ「パーティーに参加させ続ける」ことで矯正が可能となっている。 つまり「トモダチ」と一緒に長い時間を過ごせば過ごすほど、絆が深まっていく様を「行動放棄率の低下」というシステムによって表現しているのである。 つまりここで『妖怪ウォッチ』は『クリミナルガールズ』と同様【設定】の面から納得させることでAI戦闘でプレイヤーが感じるストレスを軽減しているのだ。 一方でプレイヤーは戦闘中ボンヤリと画面を見ているだけではない。『妖怪ウォッチ』での回復アイテムの使用はプレイヤーによる操作のみで可能なため、パーティーメンバーによる回復が間に合わない場合にアイテムを使用したり、あるいはキャラごとにある必殺技の使用や敵から受けた状態異常を回復させるのもプレイヤーによるタッチペンでの操作が必要となっている。 つまり完全に行動選択がAIに任せられていたとしても、(特にボス戦において)プレイヤーは忙しなく入力を求められるのである。 ここでDS特有の2画面構成が上手く機能するのである。 プレイヤーは下画面を操作することで戦闘に介入し、キャラクターは上画面で自動的に戦闘を行う。下画面に集中していても、上画面では滞りなく戦闘を継続することができるのである。 また先に述べたように、パーティーメンバーは円状に配置され前衛3名が戦闘に参加する。そしてタッチペンで配置を回転させることで円を回転させ、前衛のメンバーを入れ替えていくことができる。 この時に円上で向かい合うキャラクターは、同時に前衛として並べることが出来ない構造となっておりパーティーの選択と並び順に戦略性が生まれるのである(『妖怪ウォッチ』をプレイした人にだけ解る表現をするなら「バクロ婆の向かいにはバクを置くよねー」というあるあるが存在すると思われる)。 つまり『クリミナルガールズ』のような「入力補助装置」としてのAI戦闘に加えて、ドラクエⅤのような「パーティーメンバーによる戦略性」も同時に満たしているのである。 ・君に寄り添うRPG 恐らく入力支援システムとしてのAIは(重ねて言うが正確にはAIではなくシーケンスなのだが)FF12のガンビットシステムでかなり高い到達点にある。 しかしそれは「最適解を限界まで研ぎ澄ます」ことをプレイヤーは求められてしまい、結果として有効に活用するためのトータルで見た負荷は手動入力を越えてしまうのである(一方でゲームとして見た場合、ある程度のプレイヤーが受ける負荷は必要なので「楽ならばいい」というワケでもないのだが)。 そこで『クリミナルガールズ』『妖怪ウォッチ』が見せたのは「散漫なAIの挙動を【設定】に落とし込む」という解決方法である。 これから先、ゲームに搭載されるAIの精度はさらに上がっていく。その中で「プレイヤーに介入させる」部分をどう確保していくか、そしてそれをどう納得させていくかが問われている。 不自由なAI戦闘から、完璧な挙動を目指したゲームは、今「あえて」不自由さを取り戻そうとしているのである。 「ゲーム」は「ゲーム」単体での完成度ではなく、プレイヤーという「キミ」が存在することで初めて完成するものとしてあえて欠損を受け入れたものとなっていくのである。
by SpankPunk
| 2014-02-22 12:30
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